監獄兎中心期間限定サイトの日記という名の掃溜
デスクトップの赤緑(原型)を見て、「プーチンの目が茶色なのに何で自分擬人化設定に緑にしたんだ?」と本気で悩みました。
目の色は服だけ見て決めたんだった…原型超無視。
冒頭とは全く関係のない話。
赤×緑&双子弟。
(設定は本家を参照下さい)
本文は『続き』からどうぞ。
目の色は服だけ見て決めたんだった…原型超無視。
冒頭とは全く関係のない話。
赤×緑&双子弟。
(設定は本家を参照下さい)
本文は『続き』からどうぞ。
ポストに、封筒が入っていた。誰も住所を知らない、住んでいる当人達ですら番地を覚えていない、仮住まいのアパートメントのポストに。
現に、封筒にここの住所は書かれていない。あるのは宛名の名前だけ―――誰からも郵便の届くはずのない、プーチンの名前だけだった。
そんな郵便が正規ルートで届くわけはなく、当然のように切手も貼られていない。
「誰からだろう?」
差出人のところを見ると、こちらには名前がない代わりに住所がある。自信はないが、何度か足を運んだ事のある場所を示しているような気がした。
住所の確認をしてもらおうとプーチンは部屋を見る。けれどその相手は出掛けてしまって叶わなかった。
どうしようか―――迷った末、勝ったのは好奇心。
急いでコートを羽織ると、プーチンは封筒を片手に春とは名ばかりな雪残る外へと駆けた。
「で。わざわざ来たのか?」
しかもアイツに黙ってか―――笑いを乗せた声に指摘され、プーチンは後ろめたいところを突かれたように口ごもった。
住所の場所に無事辿り着けたは良いが、無断で出てきたのは確かに拙かったかもしれない。同居人のキレネンコはこの場所へ足を運ぶ事に対してあまり良い顔をしない。
実家なのになんでだろう―――家族だっているのに。
不機嫌そうに歪められる顔を思い出し、プーチンは不思議でしょうがない。その向かいで不機嫌な色以外は思い描いた顔と同じ顔のキルネンコが封筒を検めた。
封を切った中には手紙も剃刀も、ましてや怪しい白い粉もない。
スカスカなそれを振って落ちたのは、乾ききった二輪の花。
一つは波打つ繊毛が印象的な、薄い八重で織り成される蒼い花。
もう一方は大振りな花弁を血色に染めた、毒気ともとれる艶やかな紅い花。
特徴的な形状で有名な二ゲラと、実際花自体に毒を含むアネモネだ。
両方寒さに強い花ではある。ただそれをずっと雪で覆われた土地で見つけ出すのは至難だろう。
潤いのない花達と封筒を手に、キルネンコは目を眇めた。
随分と回りくどい―――まぁ昔からそんな傾向はあったが。
第一中身の意味を知らない相手では分かるはずがない。いや、丸解りはされたくないのか。面倒な事だ。
半眼になった赤眼に、来てからこのかたそわそわしっぱなしだったプーチンが思いきって尋ねた。
「あの、あのっ、これってひょっとして、キルネンコさんがくれたんですか?」
当たっているだろうという期待と外れていたらという不安。
その半々の表情に、キルネンコはさてどうしてやろうかと思案した。
正確な答えは考えるまでもない。
かといって親切に正解を教えてやる必要もないし、するつもりは毛頭ない。
一番無難な選択は、肯定して適当に作り話をする事か。
目の前の天然は欠片も疑わず信じるだろう。中身の意味を半分程度説明してやれば、割と楽しめる反応が返ってくるはずだ。暫く遊ぶのも悪くない。
だが、鏡扱いされているのも些か不愉快だ。こんな時だけ血の繋がりを悪用するところが実に気に入らない。
となれば。
「
「え?何ですか?」
ぼそりと呟かれた声に、プーチンが聞き返す。瞬かれる緑の瞳はそれこそ鏡面のようにキルネンコを映す。
緑色に変色する、魔法鏡だ。
どうとるか見物だな―――自然笑いの浮かぶ口元を隠すように、キルネンコはくるりと花を回した。
夕飯の呼びかけで席に着いたキレネンコは、目の前に出された皿にナイフとフォークを持つ手を止めた。
「いただきまーす!……ほ?どうかしましたか、キレネンコさん?」
早速スープを口にしようとしたプーチンは、正面で難しい顔をしているキレネンコに首をかしげた。
長い付き合いの間に彼の好みは大体知ったので、魚は出さない。今日はビーフストロガノフの香草添えだ。
黄色い小さな花をつけたその香草はキルネンコが帰る際に持たせてくれたのだ。
ケギツネノボタンという名前らしい。変わった花言葉をしていると言っていたがそれの説明はなく、それよりももっと重要な情報をキルネンコはプーチンに教えた。
「アイツは昔からこれが好物だからな」
ただ苦いからお前は食うな―――と若干強く諭されたため、プーチンの皿にその香草は乗っていない。もらった分は全てキレネンコの皿に添えておいた。
この香草がキレネンコの好物だとは全然知らなかった。やっぱりずっと昔から一緒に居る兄弟だからお互いの事を良く知っているのだろう。それが少し、羨ましく感じる。
食事の会話にその香草の話をしようかと思ったが、今日キルネンコのところへ出かけた事にまで話が及んでしまう事に思い至って慌てて口を噤んだ。
プーチンが帰った時、既に部屋に居たキレネンコは何処に行っていたか追及してこなかった。突かずに済んだ藪に進んで突っ込む事はない。封筒も花もこっそり棚へと仕舞っておいた。
そういえば封筒の差出人の件は結局答えてもらっていないままだった。否定も肯定もせずはぐらかしてしまうのは遣り方は異なるがキレネンコと似ている。
似てるのは顔だけじゃないのか、と当人達が聞けば大層嫌な顔をするだろう事を頷くプーチンに気付く様子なく、キレネンコはフォークに刺した香草を眺めた。
「…………主語はどっちだ」
「主語?」
首を傾げて聞き返すプーチンに「なんでもない」と一つ首を振って、優雅な仕草で香草が口に運ばれる。
舌にびりりと広がった苦味は辛口な花言葉そのものだった。
*補足*
ニラゲ ⇒ 本当の私
アネモネ ⇒ 貴方を愛する
……鏡に映る本当の自分の気持ち
ケギツネノボタン(毒草) ⇒ ウソをつくなら上手に騙して
……遣り口に対してか、贈ったアネモネに対してか
やった後で「ボスsに花言葉ってありえない」と気付いた。
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