ヤンデレとか客観的に見ているときは「うわぁ……(汗)」と引くのに、自分で手をかけてると割と感情移入出来てしまうどうも破璃です。根っこが黒いくせに一般気取ってすみません。
というか先日、ありがたくもブログへ拍手&コメントいただいていたのにチェックしてなかった自分の首を絞めたいです。気づくの遅くて本当申し訳ありません…!
あまりにも大きな過ちに自虐ネタさえ浮かびませんこんなダメ人間ですみませんが拍手ありがとうございました!
以下コメント返信です。
2012-06-08 21:02:47 ゆさこ様
ゆさこさんこんにちは、そしてすみませんでしたぁあああーーー!!!(スライディング土下座)
折角ウチなんぞにお言葉頂いたのに、見逃していて…
あ、お中元の餅ウサギもありがとうございましたっ!神棚に飾って拝ませていただいております。勿体無くて食べられないっ…!
Ibパロは自分だけ楽しい感じですみません…orz ですが元ネタを知らないにも関わらず読んでいただけ、本当ありがとうございます!励ましのお言葉にとても勇気付けられました。
まだ暫く続いてしまうのですが、良かったらお付き合いしてやってください…
それでは返信遅れて真に申し訳ありませんでした。コメントありがとうございました!!!
こんな事やらかした後であれですが、Ibパロ。自分はメアリー、好きです。
※注意※
拙宅ウサビキャラでフリーホラーゲームIbパロ。
ウサビは勿論Ibが正しく好きな方は回避されて下さい。
キャスト
・赤薔薇→狙(9歳)
・青薔薇→運(成人)
・黄薔薇→子運
・Ibのエンディング(微妙に)ネタバレ。
・コプさん出てきません。
・長orz
・ちゃっかりあの子が居座っています。
おKな方のみどうぞ。
初めて出た外は、とてもにぎやかなところだった。
ひとがたくさんいて、色んなことをしゃべっていて、色んな色や匂いをもたらしていて。景色もいろいろ。
それに、外はとても明るい。あたたかい。ほんものの太陽の光を初めて浴びたけど、ポカポカするみたい。空もクレヨンでぬったよりもっと青くて、きれい。
新しいお父さんとお母さんも出来た。優しく素敵な両親。それと、年の近い―――友達みたいな『お兄ちゃん』。
今日はみんなで美術館に来てて、帰りがけには美味しいものを食べるんだって。
楽しいなぁ。うれしいなぁ。
大好きなあの子と一緒にいられて、すっごくすっごくしあわせ。
ほんとう、外に出られてよかったぁ!
頭上広がる空は気持ちのいい快晴だった。
来た時はどんより曇っていたが美術館を周っている間に晴れ上がったらしい。
柔らかな日差しを受けながらボリスたち家族は帰り道についていた。前を行く両親は今日の展覧会について話し合っている。規模こそ小さかったが独創性に溢れる作品の数々は息子たちにとっても良い勉強になっただろう、とか言っているのをボリスはぼんやり聞いていた。
なんだか頭がフワフワする―――両親の声も、周囲の音も全部薄布一枚隔てられているように聞こえる。賞賛される展示品を思い出してみようとするのだが、今しがたまで見ていたにも関わらずどれもこれも曖昧にしか浮かんでこない。
珍しく静かなボリスの横では『弟』が対照的にはしゃいでいる。どうやら彼にとっては楽しいひと時だったらしい。
元々退屈だからと美術館行きを渋ったボリスと違い、弟は割と―――割と、どうだったっけ?
腕に絡んでくる弟に、家を出る時のことを思い出そうとする。
と、指先が何かに当たる感覚にボリスはそちらの方へ意識を向けた。
弟がくっついているのとは反対の、ズボンのポケットへ突っ込んでいる手。
ボリスの癖の一つで、転んだ時危ないでしょう、としつけに厳しい母親から注意されるのだが中々直せないでいる。
そのポケットには朝母が持たせたハンカチしか入ってなかったはずだけど。布とは違う硬質な物をボリスは取り出す。
体温で若干温くなった手を広げる―――コロンと乗った、小さな黄色。
「あっ、キャンディだ!ボリスちょーだいっ!」
一瞬それが何なのか、ボリスは考えていた。
その隙に脇からにゅっと伸びた手が黄色を摘む。完全な不意打ちに反応が遅れた。
弾かれたよう顔を上げたボリスの目に飛び込んだのは、「おいしい~」と笑う弟の顔だった。
丸い頬を綻ばせてキャンディを味わう弟の行動は普段なら仕方ないヤツと思うところだった。ボリスも人一倍甘いものが好きではあるが、ニコニコする弟を見るとそう頭ごなしに怒るわけにもいかない。年齢がほとんど変わらなくても、自分は兄貴なのだから。
友人であり身寄りのない彼を両親が引き取ると決めた時点で『弟』にすると、そう決めたのだ。
精々軽く小突いて泣かす、その程度だったのだが。
「―――何すんだっ!!!」
ガッ!と、ボリスはすぐ横にあった胸倉を掴んだ。
ビリビリ空気を震わせる怒声が一帯に響く。両親がビックリした様子で振り返る。目の前の藍色も、まん丸に開かれている。
そこに映った自分の形相にも気づかず、ボリスは叫ぶ。
「ふざけんな、ソレを返せよ―――返せ!」
黒い瞳を煌かせ、髪を逆立てんばかりの勢いで身長の変わらない体を揺する。
殴らないのが逆に不思議な激しさだった。真向かいで怒りを受ける相手は勿論、両親ですら暫く止められずにいるほどに。
「返せ、返せよっ!ソレは、俺のっ……!」
「コラッ!ボリス、何乱暴なことしてるの!」
尚も返せと詰め寄るボリスを父母の手が慌てて引き離す。自分と良く似た風貌で叱る母に、けれどボリスは謝ろうなんて微塵も思わなかった。
「コプチェフとケンカでもしたのかい?」
父親にやんわり押さえられながらコプチェフ―――そうだ弟はコプチェフというんだ―――を見据え、グッと唇を噛む。
ボリスの剣幕に当てられてかコプチェフはきょとんとした表情で瞬いている。
多分、彼としてはそんな大層なことをしたつもりではなかったのだ。友人だった頃以上に仲の良い、『兄弟』なら良くある戯れの一つ。文句を言いつつ結局のところいつも許してしまうボリスへの甘えもあったのかもしれない。
でも、それは―――その黄色いキャンディは、
「キャンディの取り合い?それでボリスは怒ってるのか」
「もう、キャンディなんかまた同じのを買ってあげるわ。ボリスはお兄ちゃんなんだから―――」
「同じのなんかない!!!」
気づいたら、ボリスは泣いていた。
先ほどの突然の怒りと同様、自分でも制御出来ない涙が落ちる。
悔しい?―――違う。
憎らしい?―――違う。
自分の物を取られたことに対する不満とも、他人でありながら両親に庇われている『弟』への嫉妬とも、似ているようで異なる。
ぎゅうぎゅう胸が締め付けられるような―――違う、切り裂かれるような、痛み。
苦しくて、辛くて。悲しくて、哀しくて。
まるで大切な何かを失くしてしまったかのようなこの寂莫は、何で―――
何で、たった一粒のレモンキャンディが大切だったのだろう―――?
唇を一層強く噛み締めて涙を流すボリスに、両親は困ったよう顔を見合す。幼いながら気が強く、どんな時でも決して人前で泣かないのが彼ら自慢の息子だった。初めて見る我が子の様子に戸惑いを隠せない。
天気とは裏腹な重苦しい空気の中。濡れたボリスの頬に、ヒタリ、小さなものが触れた。
「ボリス、ボリス」
ぼやけた視界に映る、藍色。
両親の脇を抜け駆け寄ったコプチェフが両手を添えて顔を覗きこんでくる。
血の繋がりがないのが一目の似てない顔をくしゃりと歪め、彼は喉を奮わせた。
「ごめんね、俺すっごくおなか空いてて、ボリスの持ってるキャンディがすっごくすっごくおいしそうに見えちゃったんだ。
こんな風にボリスを泣かせるつもりじゃなかったんだよ…ごめんね、ボリス。横取りしてごめんなさい」
取ったキャンディは揺すられた反動で口から飛び出てしまった。地面に転がる黄色い砂糖菓子には仕事の速いアリが群がっている。最早、ボリスにあのキャンディを返すのは不可能だ。
ボリスに寄り添ったまま、潤んだ目でコプチェフは両親たる人を見上げた。
「お父さん、お母さん。喫茶店の前にお菓子屋さんに連れてって。俺のおこづかいで、ボリスにキャンディ買うの」
「でもコプチェフ、喫茶店ならケーキとかもあるのよ?」
「ううん、キャンディにする」
「ボリス、良い?」そう尋ねるコプチェフに、ボリスは良いとも悪いとも言わず、ズズッと鼻を啜る。
「じゃあ、行こうか」
一応落着したらしいと判断した父親の声で一家はまた歩き出す。
お願いどおり菓子屋へ方向を取りながら、コプチェフはそっと横の手を握った。
「ボリス、ごめんね……」
「…………」
「俺のこと、キライになった?」
微か震えた、消え入るような声。先ほどまでの無邪気さを完全に引っ込め、落とされてしまった肩へボリスは小さく首を振る。
全部許そうとか、そこまで寛容になれたわけではない。ただ、すぐ脇で情けなくも半べそをかいている相手に勢いであっても否定的な言葉をかけてはならない気がした。
「……へへっ、俺もボリス大好きっ!」
赤く充血した目の端でふにゃ、とコプチェフが緩んだ顔をする。単純なヤツ、と思いつつも釣られてボリスも少し笑った。
甘ったれで、可愛くなくて、友達の感覚が抜けないままボリスに引っ付く世間知らずな―――『弟』。
兄になると決めたのは自分、ならその顔に涙を浮かべてはならないだろう。
たとえ―――忘却の彼方に残してきてしまった、大切な『何か』を失ったとしても。
繋いだ手にぎゅっと力を込めて「ねぇ、帰ったら何して遊ぼうか?」と聞き込んでくるコプチェフに、ボリスはゆっくり口を開いた。
+ + +
「コプチェフ、週末みんなで美術館に行かない?」
靴の土を落としている玄関先で、出迎えた母はそう言って一枚のパンフレットを差し出した。
『ワイズ・ゲルテナ展』
青い空間をたゆたう魚の絵にはそう書かれてある。
「あなた達小さかったから覚えてないかもしれないけど、昔この人の展覧会観に行ったのよ。
今回はまた新しい作品が追加されているらしいし、どうかしら?お父さんも休み取るって」
「で、ボリスを誘ってこいって?」
懐かしむよう目を細めた母の意を察して訊けば、彼女は「だって年頃のうちに感性を養わないと女の子にモテないわ」と腰に手を当てた。
芸術に携わる家系の中でボリスだけは音楽会に行けば居眠りをする、演劇を観に行けば楽屋に忍び込んで遊び出すという状態だったから、我が子の行く末が僅かながら心配なのだろう。おかげでコプチェフはボリスの半分以下しか母から小言を食らったことがない。
すっかり手のかからない子と認識されているコプチェフは貧乏くじな『兄』を思って苦笑した。
「母さんには悪いけど、ボリス週末も部活入ってるから無理だと思うよ。俺も試験勉強で登校するつもりだし」
頭より体を動かすことの方が向いている彼に、仮に話を振ったところで頷くはずもない。
きちんと理由を説明してからコプチェフは残念そうな顔をする母親の肩を叩く。
「気にせず父さんと二人で行ってきなよ。デートだと思ってさ」
「まぁ、この子ったら」
少し頬を染めて怒った風に笑う母はボリスと良く似ている。自分と違う漆黒の瞳を微笑ましく思いながらコプチェフは部屋へ向かう。
と、丁度階段の途中に噂の彼がいた。
足音に振り返ったボリスと短く挨拶のやり取りをしてから、コプチェフはおもむろに切り出した。
「ねぇ。週末の弓道部の練習、見学しに行っていい?」
にこやかに尋ねるコプチェフとは対照的にボリスの顔は顰められる。「却下」とすげない一言が降ったのはほんの一秒も置かないうちだ。
「お前が来ると女子がキャーキャー五月蝿くて集中出来ねぇんだよ」
「良いじゃん、俺はボリスしか見てないんだし」
「全然話かみ合ってねぇ」
唸るボリスに尚もコプチェフはせっつく。
沢山の部員がいる弓道場で彼しか見つめていないというのは本当だ。弓を引く凛とした姿はいつだって見惚れさせられる。そしてボリスだってどんなに周囲がざわめこうと、決して的から意識を逸らさないのを知っている。
「ねぇ、邪魔しないから良いでしょ。可愛い『弟』からのお願い」
「……可愛いと思われたいなら、無駄なそのタッパ縮めてこい」
階段を一段使って漸く並んだ目線でボリスが睨む。遺伝子上の繋がりがない以上、コプチェフの背がボリスを追い越すのはある意味やむを得ないことなのだが、彼は未だに納得いかないらしい。見下ろされるのが嫌でよくコプチェフに正座させる。
それでも体格に似合わず甘えるよう覗き込む藍色に『兄』としての情が刺激されたのか渋々ながら引き下がった。「大人しくしてろよ」と釘代わりの拳骨を軽く落として。
「ありがとう~ボリス大好きっ!」
「その図体で抱きつくな!」
「差し入れ何にしよっか?ケーキにクッキー、チョコレート?」
狭い階段でドタバタ暴れながら揃って二階へ上がる。くっつかれて迷惑そうな顔をするボリスが本当は嫌がっていないのを、やっぱりコプチェフは知っている。
「俺、ボリスと一緒に居られてすっごくすっごくしあわせ!」
早く週末にならないかなぁ、とコプチェフは心から―――本当に、心から思った。
最初は、『友達』になりたかった。
それがいつの間にか、『家族』になれた。
随分苦労したんだ。キャンディを遠ざけて、薔薇を刈り取って、青い色を全部塗り替えて。あの男を思わせるもの、全て払って。
今更美術館になんて行けやしないよ。ねぇ?
誰よりも愛おしいボリス―――いずれ兄弟みたいなこの関係も越えて『恋人』にしてみせる。
(だって俺と君はずっと一緒なんだから。)
ED:いつまでも一緒
+ + +
ついに子コプがデフォ設定になってしまいましたすみません。最早ウサビでもない…
BADENDの中でもこれはまだ救いがあるほうなのかなぁと思うのですが、やはり三人無事なエンディングが見たかったです…
ちなみに成長したボリスの部活、剣道でもアーチェリーでもなく弓道部なのは昔某方が描かれていたのを見てパクりました。(またかよ)
(子)コプは無所属。でもオールマイティーに秀でているのでよく助っ人に呼ばれます。手伝いで得た報酬(この辺はちゃっかりしている)でボリスにお菓子を買って帰るのがひそかな楽しみという、とてもどうでもいい設定をつけてました。