あっついなぁとか思ってたら、もう、7月終わるんですね……なんか、今月、何もして、ない……
というより、最近(いやいつもですが)はたと自分人様の目に晒せる文章なんて書けないのに、何をやってるんだとガンッと脳天を突く衝撃にあたってから、ぴたりと手が止まってしまいました。
ネット小説であれ出版された文庫であれ、すごいなぁこの書き方とかこんな話かけたら良いなぁとか思ったら、もう文章どころか戸書きも単語も出てこないんですあははは……情けない。
それでものっそり、見切りつけられない自分、は、なんて自己顕示欲の強い、矮小と、他人嘲笑ってた、昔、恥ずかしいのは、自分、じゃないか。
書き方をちょっと変えてみようと思った、ら、怪奇文。
多分、暑さで頭溶けてる。間食のアルフ●ートも溶けてた。
リハビリ、しなきゃ。ああ。海行きたい。
赤+緑。(…?)
海行きたいの。
本文は『続き』からどうぞ。
―――夏だ。
熱い、暑い、夏だ。
四方八方、全部塞がっている房の中はとても暑くて、大変蒸して、もうもうと体の表面から湯気が昇ったりして、そして、あんまりにも暑いから、僕は大好きなコサックを踊るの止めて、指一本動かす気力なく、汗でぐっしょり、ベッドに寝ていたのがいつの間にか落っこちて結果、今、お世辞にもきれいとは言えない床の上、ごろんごろん転がっている。
ぺたんとほっぺたつけた埃と泥の乗ったコンクリート、ここってひんやりして割合快適で、まぁこういうのも臨機応変というか、必要に差し迫られた末仕方なく選んだ選択なんです、とか適当に言い訳仕立ててみて、扉の向こう、ひょっこり覗く目二つ見えたとしても叱られないよう、しっかり防衛線張って、手も足も投げ出した大の字の格好、すりすりすり、色も冷ややか、冷たい場所に擦り寄ってみる。ああ涼しい。
実は僕はこういう色、あんまり好きじゃないんだけど、冬の、曇った空のような、寂れた廃墟のような、淀んで、寂しい、この色は好きじゃあないんだけど、でも、ここ最近とても暑く、踊るのも、動くのも、寝るのも、とおおっても難しい、そんな暑い時期は、ほんのちょびっと、冷たく、ひんやり、涼しい、あとついでに固い、マシュマロと正反対、沈んだこの色好きになる。
でも、別に、この色じゃなきゃダメというわけじゃなくて、だって僕は本当は明るい色大好きで、ほっぺをくっつけた面、一体鮮やかで、カラフルな、なにかしらの塗料で染まってたら、今よりもっと、大喜び、床の上一杯、ゴロゴロする。太陽に向かってぐんぐん伸びる、元気な、にっこりひまわりの黄色、とか、子供の時こっそり、畑にもぐってかじった、キュウリの緑、とか、それから真っ白い入道雲もくもく浮かぶ、どこまでも、どこまでも、続いている空、の青色、いやいやそれを言うなら、真っ白な波打ちつける、押しては引いて、寄せては砕ける、遠く、果てなく、見えない向こうの方、まだまだちゃぷちゃぷいっている、真っ青らしい、海、のような、かな。
らしい、というのは僕、実はまだ海を見たことがなくて、正確には絵本に描かれた海や古ぼけた写真の海、見たことあるけど、そうでなく、冷たく、ざぶんざぶん音立てる、美味しそうな、色とりどりのお魚泳ぐ正真正銘、真実の海見たことなくて、だから海、どんな色しているのか本当は、全然、ちっとも、知らない。
青いってどれくらい青いの、空より青いと聞くけどどう青いの、濃いネイビー、薄いペールブルー、はたまたエメラルドの碧色、で、水なのにどうして青いの、塩が入っているから青いの、けどコップに塩水作っても青くない、やっぱり海は海と呼ぶから青いの、とかとかなんとか、僕も色々思うんだけど、これってどうなんでしょう。
「ねぇ、キレネンコさん」
だんだん温くなる寝場所、一転二転、ずりずり冷たいところへ移動した、さりげなく床そうじ頑張る僕、気が付いたらごちん、鉄柱へぶつかる、いたたた、頭押えながら一段高いベッドの上、座るキレネンコさん、きれいな、きれいな、赤い目見る。
ああそうだ。
僕はこの赤色も大好き、春に実るイチゴ、秋に咲く鬼灯、冬に灯る暖炉、と、熱い夏そのもの、情熱的な色、冷たい海の青とはま逆、僕の、大大大好きな色。
僕の大好き、キレネンコさん、暑い中、びっくりするくらいいつもどおり、汗の粒一つかかず、平然と、至って無表情、きゅっきゅきゅっきゅっ、靴磨き、なんで暑くないの、心頭滅却すればなんとやら、とか言うから、かな、キレネンコさんやっぱりすごい、尊敬の念抱いて、きれいで、涼しげな、熱心に靴見つめているのに紅潮しない横顔、僕はじっと見上る。ああうらやましい。
いっそのこと彼へすりすりしたら涼しい、かも、いよいよほっぺたと同じ温度、青くも赤くもない、汗に湿った生温い床、でも、恥ずかしい、から、流石にそれは実行しない、上がった体温下げるよう、強く、強く、冷たい海思い描く。
海、海、青くて、冷たくて、しょっぱい、全部その後にらしい、がつく、海。ああ。
「キレネンコさん、はぁー、海、行ったことありますかぁー?」
暑さでぐったり、からだ同様、でろんと伸びた僕の声、靴から少し上がった赤い目、キレネンコさん、軽く首を傾げてうんともすんとも言わない、けど、多分、きっと、その目は空より青い、大きな海見たことあるはず、だって彼は物知りだ、僕は勝手に推理する。
良いなぁ海、行きたいなぁ海、キレネンコさんうらやましいなぁ、僕も海行きたいなぁ、でも一人で行くのはつまらない、ここはやっぱり彼と行きたい、ところでキレネンコさん泳げるのかな、僕は浮き輪がないと泳げない、けどそれってちょっと格好悪い、だからこっそり、一人バタ足練習、バタバタバタ、コンクリートの上って結構痛い。
「うみー……行きたいなぁ……」
バタバタバタがバタン、ますます暑い、水の張っていない床の上、やっぱり泳げない僕はでも、とっても、海に行きたくて、行きたくて、行きたいから、大好きなキレネンコさん、の、赤い目、じぃっ、と、じぃーっ、と見てみる、のに、靴に目、戻した彼は涼しい顔で見ないフリ、ちょっと冷たい、キレネンコさん。ああ。
僕は海に行きたい、まだ見たことのない青い海、赤い、大好きなキレネンコさん、と、僕は海行きたいの。
砂浜は足の裏、やけどしてしまいそう、でも、僕のサンダルならへっちゃら、海まで一直線、波の中ざぶん飛び込んで、うわぁ冷たい、でも、振り返ったら足跡一人分、腕組みしているキレネンコさん、早く早くこっちですと手招き、その向こう、スニーカー濡れるから動かない、冷たい、キレネンコさん。
ならキレネンコさんもサンダル履いたら良いです、サンダルは濡れても平気、砂も入ってこない、岩場で滑って転ぶこともないです、ナイスアイデアの僕、おそろいのビーチサンダル、水着もおそろい、キレネンコさん、一緒に泳いで、潜って、水かけっこ、ちょっと疲れたからパラソルへ避難、暑いですね、でも楽しいですね、海見てキンキンに冷えたクバス一気飲み、こんがりとうもろこし食べて、イカ焼き食べて、あとフランクフルト、フライドポテト、串焼き、ラムネ、カキ氷、バクダンキャンディー、アイス―――ああ。
「……アイス……食べたい……なー……」
最近のおやつはチョコレートひとかけ、美味しい、けど、暑さで溶けたチョコ、それはもはやチョコフォンデュ、お皿をべろり、舐めるチョコに罪はない、ないんだけども、やっぱり、こんなに暑いと冷たいアイスが恋しい、アイスもチョコと一緒、溶けちゃう、でも、冷たあいアイスの勝ち。
アイス、アイス、アイスを愛す、青い海と冷たいアイス、切望する、熱中症寸前、ダイイングメッセージ残す僕、赤い目、靴から放して起き上がる、僕のあいす、キレネンコさん、叩く扉、どんどんどん、ってあれあれあれってもしかして、ひょっとして、そうなのかしら。
ほっぺたぺったり、埃べったり、顔上げふふふ、笑う、大丈夫、海も一緒、でもでもアイスお願いしたら看守さん困ってしまう、から、僕はスイカ、キレネンコさん、ね、赤い、よく熟れたスイカ、で、僕良いですよ。
ああそうだ。
海といえばスイカ割り、目隠し、クルクル回る、もっと右ですいやもうちょうっと左、一発で割ったらダメなの、僕が割りたい、から、ちょっとずれた方教えちゃお。
青い海、パカリ割れた、きれいな、真っ赤な、スイカ、キレネンコさん、ね、僕と一緒に食べましょ。ああ。
「ねぇ、キレネンコさん」
海が、僕らを呼んでいる。