あまり脅威はないのに世の中で大半の人に嫌われてしまう、よくよく考えると気の毒なあの黒い物体の話なのでたたんでおきます……

　奴は不思議ですよね。蜂や蚊みたいに実際人体に害をもたらしたり蝿みたいにちょろちょろ鬱陶しいわけでもないのに、何故あんな沸き立つような生理的嫌悪を感じるのか。
　かくいう自分も、アレは大変苦手です。蜂とか周囲が逃げても一向に危機感を感じずスプレーでさくっと殺せるのに、奴を見た瞬間は戦慄してにぎゃーっとか意味不明に叫んで敵前逃亡をします。
　堂々と立ち向かって殺してしまえば良いと頭では思うのに、あのヌルッとしたボディを目にした途端にぎゃーってなります。にぎゃーっ。

　

　何の前置きなんだっていうと、今日ちょっと夜中台所でごそごそつまみ食いをしておりまして。まぁちょっとの時間だしと電気もつけずにね、もっしゃもっしゃっとストレス発散。
　んで、さぁもう寝ようとこれ以上食ったら色んな意味でヤバイしくるり踵を返した瞬間、裸足の足の裏にぷちゅっとした、不思議な感触が走る。
　何か落としてたっけ？と目をやったんですがよく見えないので、ずずぃと床に顔を近づけて目を凝らしたんです。ら。


　細い、数本の足と、触覚。
　黒い、つやっとした胴体。
　あとついでになんかはみ出てる、白っぽいの。



　…………にぎゃーーーーーっ！！！！




　スリッパで狙おうと思っても中々狙えないそもそも武器を振る前から逃げの姿勢をとる奴が、なんで、こういう時に限って、うまいこと射程圏内にいるのかなぁ！？俺はそんなミラクル要求してねぇ！
　即行で足を洗ったものの（あ、別に悪事を改めたって意味じゃないんですよ）未だにあの感触が残っている気がしてううう……

　そして猟奇現場は片付けずにそのまま放置して逃げるというチキン。
　大丈夫、きっと明日の朝には母が片付けてくれてる、はず……（さいてー）

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