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監獄兎中心期間限定サイトの日記という名の掃溜
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 携帯の万歩計機能が1日で1000歩に満たなかったどうも破璃です。堕落しきっていてすみません。

 色々予定立てていたのですが、朝から起き上がる気力がわかず…ウダウダした末、結局明日に全部押しやるこの駄目っぷり。果たして俺は、明日ちゃんと動けるのでしょうか。(知らねぇよ)



 今期やる、といっていた自己満足な企画。捏造なんちって小話。
 の、出だしというか…
 とりあえず、小さい双子と緑が顔合わせしました。


 双子+緑

 変なもの、見つけました。




 本文は『続き』からどうぞ。



 

 

 「キレ、面白いモノを見つけた」

 


 ……弟がこう言う時は、まずつまらないモノが待っている。

 

 それは両指の数に満たない人生の間に、キレネンコがうんざりするほど学んだ事だ。
 機嫌良い上向きの弧を描く口元を見れば、益々その予測は正しさを増す。


 ―――無視だ。


 一も二もなく判断する。当たり前だ、つまらないモノなんかにわざわざ付き合ってられない。第一、考え方も性格も異なる話の合わない双子の弟と通じる話題はスニーカー関連くらいなものだ。
 向こうとて真剣にキレネンコの応対を求めているわけでもない。背を向けるキレネンコが振り返らなければ、そのまま一人遊ぶか飽きるかする。仮にそれ以外であっても関係ない。兎に角、無視だ。

 その意に反し体が動いたのは、ただの偶然。神経を遮断する直前、耳が変な音拾ったからだ。
 犬とも猫とも違う―――変な、鳴き声のような。

 一瞬気を引かれ、視線をやってしまう。

 「…………」
 「ふぇぇ、」

 高い位置から赤い瞳浴びたソレが再度鳴く。しゃべった、とも言うのかもしれない。

 片割れが片手で持っている(鷲掴んでいる?)、『面白いモノ』とやら。
 
 大きさは、掴むキルネンコの半分くらい。多分1mもない。ふわふわした薄茶色の髪を手にしたキルネンコが肘曲げているせいで足先が半分宙に浮いている。
 そんな低い背丈の割に顔はやたら大きい。目も口も大きい。うるうるプルプル、微妙に揺れる緑色が眉間に皺寄せたキレネンコを映す。突いたらビシャッと水を撒いて弾けそうだ。
 実際、泣いてないのが不思議なくらい萎縮している。

 まるでクマかライオンの巣に連れ込まれた小リス。或いは鷹に引っさらわれた野ネズミ。

 

 しかして―――ソレの本当の正体は、小動物でもなんでもなく、貧相極まりないチビなガキだった。

 

 世間暮らす大人からすれば子供のキレネンコから見ても、更に子供な生き物。人の庇護あって初めて息出来る存在。
 一人では身を守ることも出来ない、脆弱な、所謂―――『幼児』。

 

 「……何だ、ソレ」
 「だから面白いモノだって言っただろ」
 「そうじゃねぇ。どこから拾ってきた」

 対象ではなく状況の説明を要求する。するとキルネンコはそれこそどうでも良いと言う風に「あっちの方。」と来た方角指差す。
 キレネンコ達が現在居るのが裏通りだから、示した方角はメインストリートに当たる。人の行き来もそこそこあるそこなら幼児の一人や二人、うろついていてもまぁおかしくはない。


 拉致、誘拐、略取。そんな言葉が、キレネンコの頭の隅に浮かぶ。


 最も、だからといってキレネンコが慌てふためくことも、見ず知らずの子を攫ってきた不出来な兄弟を熱く叱ったりすることもない。
 至って冷静に、顎しゃくる。

 「捨ててこい」
 「えー、なんでだよ」

 むぅ、とキルネンコが不服げに口尖らせる。
 「コイツ面白いんだって、」と主張するが、ガキの何が面白いものか。泣くし、騒ぐし、漏らすし。
 不快だといわんばかりに睨むキレネンコに、自身の説を証明するべくキルネンコは空いている片手を幼児へ伸ばす。

 「ほわっ、」
 「見ろ。こんなに顔が伸びる」
 「ふみゅみゅっ、い、いひゃいいひゃいぃぃー!」

 摘んだ幼児の頬を、思いっきり。それこそ、容赦なく。引っ張った。
 すぐ真横で悲鳴じみた声が上がるが、お構いなし。指、というか腕ごと横に引く。
 キルネンコの無慈悲な指が蹂躙するまま、幼児の頬は持ち主から千切れることなく伸びる。不思議なくらい伸びる。子供の肉は往々にして柔軟性に富んでいるが、それにしたって、良く伸びる。


 ―――だから、どうした。


 確かに、幼児の顔は滅多にないほど伸びた。同じ生き物とは思えないほどに。

 しかしそれは『変』なのであって、決して『面白い』わけではない。

 呆れの溜息一つ。「くだらねぇ、」と言い切ったキレネンコは完全に背を向けなおす。

 「馬鹿か、お前は」
 「何だよ、面白いじゃねぇか。珍しいし」
 「珍しいのと面白いのとは違う」
 「どう違う?」
 「自分で考えろ、馬鹿」
 「さっきから馬鹿馬鹿言ってるけど、お前のが馬鹿なんだぞ馬鹿キレ」
 「うるさい、馬鹿キル」
 「キレは自分で考えない。ブチ切れて暴れるだけ。お前、猫が何でニャーって鳴くか考えたこととかないだろ」
 「黙れ、電波。失せろ」


 一人で帰り道分かるのかよ。当たり前だ、馬鹿にするな。この前迷ったじゃねぇか。ちゃんと帰った。行き止まりの壁全部壊して進んだだけだろ。


 「やっぱり、馬鹿だ」


 指差し嗤うキルネンコに、キレネンコは無言で拳固める。とりあえず、狙うは片頬上げた顔。幼児のように柔らかくない、自分と瓜二つの頬はさぞ殴り甲斐があろう。
 構えた腕を飛び出させるのに、これ以上理由は要らない。が、キレネンコは止まった。またしても、変な音が耳に届いたからだ。
 クスクス聞こえるそれは、双子の弟がよくする声に似ている。しかし、弟のものにしては音域が高い。何より、正面のキルネンコ自身がきょとんとした顔している。


 互いに見合わせた赤い瞳が、揃って音のする方を―――下の方を、向く。


 「ふふふっ、おにーちゃんたち、仲良しさんなんだねぇ。楽しそ~!」


 二人の目が向く先、キルネンコの手元に吊るされたままの幼児がニコニコ笑っていた。
 ふくふくのほっぺたを更に弛ませて破顔する、その片方は抓られたせいで赤く腫れているのだが、当人はあまり気にしていないらしい。
 多分、神経が鈍いのだ―――どんくさそうだし。とキレネンコは推測する。
 連れて来られた時は半べそかいていた大きな深緑の瞳が、くりんくりん円描いてキレネンコ達を見上げる。

 「ねぇねぇ、仲良しだからお顔がそっくりなの?」
 「……」
 「……」
 「ぼく、知ってる!そっくりなのは、『さゆーたいしょー』って言うんだよね!」

 良いなぁ、仲良し良いなぁ。

 キラキラ。そんな擬音語が聞こえそうなほど、真っ直ぐに向けられる眼差し。子供特有の愚直でまるきり考えなしなどんぐり眼が左右対称なキレネンコとキルネンコを映す。
 ―――そこに映る赤が次第半眼になるのも気づかずに。
 良いなぁ、を繰り返す緩んだ口元に指が伸びても。止まらず、喋り見る。


 「ぼくも仲良しなりたい!ね、一緒にあそんで―――ほ?」


 キレネンコの指先が、幼児に触れた。反対には同じように添えられた、キルネンコの指が見える。

 お互い特に、言う事もなく。黙って―――引く。


 「ひひゃひゃひゃひゃっ!?ひひゃぃ~!」


 「……お前も左右対称だぞ」


 そぉれ。


 「このまま両方、引き千切れても左右対称だな」


 そぉれ。そぉーれ。


 「むひゅむひゅぅ~っ!ひぎれふのぁひやぁーーー!!!」


 びろーん、と。右と左、均等な力で引っ張った顔は、見事左右対称な顔面を創り上げている。これぞ芸術、といった具合だ。
 それにしても、良く伸びる顔である。実際摘んで初めて分かったのだが、想像していた以上にこの幼児の肉は柔らかい。主成分が餅かゴムで出来ているのではないのかというくらいに。結構な力を入れて引いているのに、千切れる気配は一向にない。
 ―――まぁ、かなり痛がっているが。
 見る見るうちに涙目へ逆戻りする緑色を見下ろし。程々のところで、キレネンコは指離した。
 そのまま伸び垂れるかと思った頬は、予想に反しぱちょんと音がしそうな勢いで幼児の輪郭に戻った。伸縮性も強いらしい。元々赤みがかっていた頬の色はすっかり紅一色になっている。
 丁度同時期にキルネンコも引っ張るのをやめた。ついでに、掴んでいた薄茶色の髪も離す。支点がそこのみだった幼児は手足をばたつかせる間もなく、尻から地面に落下した。

 「ふにっ!い、いたいぃ……うっ、ぅえっ、」

 ―――泣くか。

 五月蝿い、と泣き声が鼓膜震わせる前からキレネンコは顔を顰める。
 やっぱり、ガキは嫌いだ。笑うのも鬱陶しい、喋るのも鬱陶しい。泣くのは更に、鬱陶しい。
 いっそ、泣き声自体上げられなくしてはどうだ。無意識な考えに先導されるまま、キレネンコの手が幼児へ伸びる。成人ほどの大きさはないキレネンコの手だが、目の前の赤ん坊と大差がない幼児の細い首ねじ折る程度朝飯前。もしかしたら頬同様、骨も柔らかいかもしれ

ない。一層難易度は低くなる。
 ヒックヒック痙攣している喉元へ、手をかける―――寸前、幼児が弾かれたように顔を上げた。
 幼くても流石に生命の危機を感じたか、と思ったのだが、緑の瞳はキレネンコを素通りし、後ろを振り返る。
 幼児がキルネンコに連れられやってきた方向、少し距離のある路地の入り口。そこに一つの人影がある。
 逆光になってよく見えないが、女のようだ。あっちこっち首巡らせるその人物が言う何か―――恐らく名前だ―――に、幼児が喜色を示すのが、キレネンコの目の端に映る。

 「あ、おかーさん!」

 舌足らずな声を上げると同時、パタパタ駆け出す。あまり早くはない足で(ついでに何度かこけそうになりながら、) 一直線、母親らしい女の元へ向かう。
 突然居なくなった我が子を、女が慌てて探していたのはキレネンコにも何となく見当がつく。足元飛びつかれ、上がる声は明らかに和やかとは異なったが、幼児はまるで気にしていない。

 「あのねっ、仲良しのおにーちゃんたちがね、あそんでくれたの」

 そんな事を言っているのが聞こえる。おたふく風邪にでも罹ったような両頬は、やはり神経が通ってないのだ。
 女に手を引かれ、幼児が歩き出す。途中、振り返って反対の手をブンブン、大きく振ってくる。「またね!」とかなんとか叫ぶ。
 その姿もすぐ、角を曲がって消えた。

 「あーあ。折角面白いと思ったのに」

 横でキルネンコがまたもや口尖らせる。だから、面白くはない。思えど、キレネンコは特に指摘しなかった。隣並ぶ顔から表情が消えたのを、横目で確認する。
 落ち[OFF]た。弟のキルネンコはテンションの高いONの時と無感情のOFFの時が、唐突に切り替わる。まるで、ロボットのように。
 大人は滅多に笑わないキレネンコの事を変わっているというが、キレネンコからすればこんな弟の方がよほど変だ。ONのニヤニヤ笑っている時でさえ、本気で楽しんでいるのとは違う気もする。


 ……そういえば、さっきのガキは『笑って』いたな。

 何が面白かったのかは、分からないけど。


 幼児の去った方角から顔を戻し、「行くぞ、」とキルネンコを小突く。別に付いてこなくても一向に構わなかったのだが無表情のまま、フラリ歩き出す。
 メインストリートとは反対の奥へ進む。その頃にはキレネンコの頭から、幼児の声も、感触も、目の色も表情も。綺麗さっぱり、抜け落ちている。

 

 

 その顔を、いつかどこかで見かける日がくるなんて―――思いもしないで。





+++

今日の登場人物

・きれさん…無口。無関心。子供ながら、既に眉間の皺が型になっている。でも、別に常に怒ってるわけではなく、そういう顔なだけ。弟は放置したいけど、親の方針で仕方なく連れ立っている。

・きるさん…(無)邪気。行動的。時々、電波。気になったものには何でも手を出すが、飽きるのも早い。スイッチのON・OFFは特に外的要因はない。ONの時ちょろちょろしすぎて兄に睨まれるが、どーでも良い。

・ぷーちん…幼児。年齢を示そうとするといつも指を1本多く出してしまう。基本誰にでもついて行く。お菓子で釣れてしまうのでおかーさんはいつも心配。(今回キルは強制的に引っ張ってきました)まだちまいので、記憶とか全然ない。

 

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