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監獄兎中心期間限定サイトの日記という名の掃溜
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 ええっと、深く語りだすとちょっと底が見えなくなるので、手短に一言。




 竜崎さん、ごめんなさい。




 つまりは、そういうことです。
 あ、あと竜崎さんのファンの方もすみません。毎度俺得です本当申し訳ない。




 苦情あったら即行で消すので、赦して下さい……



●本日の拉致被害者●
 ・キレネンコ(兄)…美人。弟想い。本物は大変凛々しく気高く格好良いです。
 ・キルネンコ(弟)…可愛ス。兄想い。管理人は彼を天使だと思っています。
 ・竜崎さん(お母様)…尊敬しています。むしろ、愛。

 →『脱兎。』(竜崎 辰巳 様)
 ※正しいキャラの設定は、竜崎さんのサイトを参照してください。

 というわけで、懲りずに拉致させてもらいました。
 竜崎さん、本当ごめんなさい。




+ + +



 砂埃が、視界を白く覆う。


 顔を叩く塵を腕で防ぎながら、こんな時は眼鏡の方が都合が良いとキルネンコは思った。壊れやすいがレンズがある分、眼球への直接被害は低下する。ずれないコンタクトレンズとどちらも一長一短だ。
 チッと舌打ちを零しつつ、細めた目で彼方を探る。ほどなくして現れた見慣れた背中は、少し汚れているものの怪我をしている様子はない。安堵すると共に、少しばかりの呆れが起こった。

 ―――壊すなら、もうちょっと部分的にすれば良いのに。

 毎度思うキルネンコの言を、兄のキレネンコが実行することはあまりない。突っぱねっているわけではない。ただ、あまり知られていないことではあるが彼は存外不器用だ。
 戦闘においてもそれはいえる。一つの標的を狙うより地面ごと、あるいは建物ごと粉砕する方が得意である。ナックルを填めた五本の指はどれだけ頑強な物でも打ち砕くのだから、一応力の面では問題はない。
 もしくは―――今回は最初から『狙いをつける』こと自体、行っていないのかもしれない。
 的を絞らなければ攻撃自体は粗くなるが、範囲と反射に断然の分がある。余波に巻き込める可能性も考慮すれば、戦術として通用しよう。息も継がせない連撃―――特に対峙者が同等の実力を持つ場合、防御に転じないことが勝利の鍵となる。

 さて、その場合の『勝利』とは一体何を指すのだろう。

 当初の目的であった土地を手に入れることか、それとも、同じ用件で鉢合わせた組織の頭目二人を葬ることか。

 魂の袂がひとつであるとはいえ、流石のキルネンコも離れた場所で戦う兄の頭の中は覗けない。ただ、従うべき首領でもある彼の行動に一番類似したものを遂行するだけだ。
 やれやれ、と軽く肩を竦める―――そこへ、低く嗤う声がかかった。

 「今、思った事を当ててやろうか」

 くっくっと喉を震わせる、音。不快な、人の不安と危機感を煽る厭な嗤い方だ。聞いた者を否応なく躍起にさせる、嘲笑と呼ばれるもの。
 それに対し、キルネンコは僅か眉を顰めるに反応を留めた。挑発には、乗らない。冷静な判断下し、菫色の瞳を静かに声の方へ向ける。

 「……なんて?」
 「『面倒くさい』」

 当たりだろう?と、まるで外れるとは思っていない口ぶりで言う男の言葉は、確かに否定すべき箇所が見当たらない。
 面倒くさい。その通りだ。必要とはいえ一区画の土地のため駆けずり回るのも、頭を使うのも。隙のない相手に向けて、銃を構え続けているのも。

 「俺、平和主義だから」
 「それは嘘だな」
 「どうして?」
 「血の匂いがする」
 「……そう言うお宅ほどじゃ、ないと思うけど」

 少しだけ、嗤う声が大きくなる。深められた正面の笑みに、軽く首傾げただけのつもりだった自分の表情が思った以上に歪んでいたことをキルネンコは知る。
 貶されて、いい気がするはずがない。本日何度目かの舌打ちをした彼は、憤懣たる気持ちを隠す事を止めた。
 真正面から強く相手を見据える―――深い、真紅の双眸を。
 ルビーを思わせる色合いは兄と同じだが、出来れば重ねたくはない。現在敵対している相手だからというより、なんとなく―――

 「『虫が好かない』?」
 「アンタ、占い師にでも転職しなよ」

 見事心中を言い当てた相手を賞賛混じりに皮肉る。
 どちらかといえば演技派で、相手の腹を探るのを得意としているキルネンコに対して向こうの性格の歪みっぷりは更に斜め上を行っているらしい。腹黒いヤツ。と、今度は明確に表情へ乗せる。
 途端、上向き加減を増した口端は、こちらの心意を正しく酌んでいた。編んだ赤髪が振動を受けてゆらり揺れる。機嫌の良い猫を思わせるその姿に、残念ながら飼い猫に通ずる愛らしさは見当たらない。

 「他にも分かるぞ?早いとこ帰って昼寝でもしたい、とか、ここへブランドショップを入れれば儲かるだろうな、とか。
 あと―――あっちで暴れてるやつの、サブに回りたい。とかな」

 スッ、と。眇められた赤い瞳が、キルネンコの片足を捉えた。
 ―――スニーカーの靴底が浮いたのは、ほんの数ミリ程度。首も銃身も前を向いたまま。恐らく、気付いた理由は肉体の動きよりも気配―――意識が、轟く破壊音の方に向いたからだろう。
 軽く息を吐く。こうも易々手の内を読まれると、やりにくい。

 勿論、負けそうだとは微塵も思わないが。

 滑るグリップを握りなおし、キルネンコは口を開く。薄く笑う表情、眼差しが、極力向かいの腹立たしい顔と被らないよう努めたが、中々に難しい。

 「……そっちは?手伝いに行かなくていいわけ?
 ちなみにうちのボス、加減出来ない人だから」

 言った側から、地面が揺れる。お兄、あんまり亀裂は作らないでよ―――収益全てを整地費用に当てたのでは意味がない。加減が出来ない、というのもここまで至ると考えものである。
 味方でありながらつい溜息をついてしまったキルネンコに、だから相手が言った「そうだな、」という台詞は意外にも素直な響きをもって届いた。
 不安定にぐらつく大地に、まるで根付いているかのように崩れない向かいの体勢。キルネンコと同じ、立ったままで波をやり過ごす方法を知っている。それが示す意味を彼が悟るより先に、視界に納めていたものが逸れた。

 「じゃあ、手伝ってやるか」
 「―――っ、!」

 何気ない一言。

 それを合図にするよう響いた銃声は、二発。

 風を鋭く切り裂く音に、全ての視線が一瞬集う。
 対峙者から外れて宙を浮いたキルネンコの目が一番に見たのは、当然のように片割れである兄のものだった。
 普段より鋭さ増している赤い瞳にカチリ、合った―――そう思った時、「ネンコ、」と向こうの唇が動いた。


 構うな。


 緩く振られる、首。その横顔へ走る一本の朱色の線を目にし、しかし蹴りだしかけた足をグッと押さえ込む。
 分かっている、と言いたかった。任せられた方の相手を潰すのが、自分の役割。背を預けるという、信頼の証。

 そうだと理解しているものの、同時に知っている―――なるべく、矢面に晒さないように。直接的に、傷を負うリスクを増やさないように。対面した相手を見て、キレネンコが危険度合いの高い方を受け持つのは常のことだった。

 どれだけ大丈夫、平気だよ、と説こうと縦に振られない首。こちらの特性を知っていて尚引かない兄から「そうしたいからだ」と、真摯に言い返されれば反論は返せない。自分とて同じだ、と思っていても。
 伏せかけた目に、今度は振り返った男が入り込んだ。
 赤い髪に、赤い眼。鮮やかな色彩備えた風貌に、どこかで見たような、など惚けたことは言わない。頭の天辺から爪先まで、並ばずとも分かる程にキルネンコの正面にいる相手と同じだ。
 最も、人相は真逆だけど―――これ以上ない程に寄せられた眉といい、固く引き結んだ口といい、場を愉しんでいるように嗤う相方と同じ表情が作れるのかも謎である。先ほどやられたように向こうの心中を量るなら『ムカつく』だろうか。
 不機嫌も顕な顔には、やり合っている兄より多くの傷を見つけられる。だが、それを侮る要素と捉えるのは大間違いである。

 あれは、防御を無視するタイプだ。

 典型的な攻撃型。守備に手を割く位ならその時間で倍の量相手を殴る。多少怪我をしようと構わない。殺れば勝ち。
 考えなしなやり方といえるが、そのスタンツで普段長引かない兄との勝負を延々続けているのを見れば示される意味は分かるだろう。
 武器一つ持っていない向こうの手が、上がった。幾つかの傷の中、ついと耳元近くへある裂傷を撫でる―――更に険を増した男の目は、向かいのキレネンコを飛び越しさらにキルネンコを通り過ぎ、一番遠い場所にある赤眼を見た。

 「死ね」

 ドスを効かせて吐かれた本気の呪詛に、キルネンコは前を向いた。思わず丸くなった目へ映った顔は、一瞬前と寸分変わらない冷笑を浮かべている。片頬上げているその耳にも、血の繋がった兄弟からの呪いは間違いなく届いただろうに。
 いや、とキルネンコは思い直す。それを気にするなら、最初から引き金を引いたりしない。

 「……アンタらってさ、」
 「うん?」
 「つるまない方が、良いんじゃない?」

 幾らターゲットが居ても、同じラインに自分の味方がいるなら発砲には躊躇示すもの。現に同じ状況のキルネンコはあちらへ手を出せなかったし、弾は身を翻したキレネンコではなく身内に傷をつけた。
 一歩間違えば自滅のこれを手伝いとは呼ばないだろう。撃たれた側が殺気立つのも、無理はない。
 しかも、自分の方はちゃっかり逃げてるし。避けられた銃の照準を合わせ直しながら呆れ混じりに言ったキルネンコに、やたら仲の悪いらしい双子の一人は「つるんでねぇ」と若干声を低くした。
 先ほどまでから一転、気分を害したらしいその表情を見て、おや。と思う。

 「……ふーん」
 「なんだ?」
 「いや。そういう顔すると、あっちのおにーさんにそっくりだな、と」
 「…………」
 「あ、益々そっくり。いがみ合ってるみたいだけど、アンタらもやっぱり兄弟だね」

 当たり前のことを得心したように頷くと、次第温度を失っていった赤い瞳が瞬いた。

 「……成程、泣く覚悟は出来てるみたいだな。それとも、鳴かせてやろうか」
 「悪いけど、好みのタイプじゃないからヤだ。」

 首の後ろがざわつくような気配。押し寄せる忌避本能に、対照的にキルネンコの口元は小さく上がる。


 そうだ。もっと、本気になれば良い。

 薄ら笑いの余裕を剥いで、誤魔化すことなく、全力で立ち向かってくれば良い。


 その分こちらも、余計なことを考えずに済む。脇で何が起こっていようと、正面の相手だけに集中出来る。
 生と死とを隔てる一本線。そこから転がり落ちないよう、全神経を張り巡らせる。体の内側から研ぎ澄まされていく感覚は、決して嫌いなものでない。

 それはきっと兄も、目の前の相手もその片割れも。この場へ居合わす誰もが、同じはず。


 だからこそ、余計に『構うな』なのかな―――感情を表立てない涼やかな顔に反し、彼の人が自分以上に熱いものを秘めているのも。キルネンコは、知っている。


 鋭くなった聴覚が、撃鉄を起こす音を拾う。落ち着く思考と感情の高揚が交じり合うのに、軽く唇を舐めた。
 指に当たる金属を引き寄せる。再び巻き起こった砂塵に、もう目を閉じはしない。


 「それじゃ―――仕切りなおしといこうか」

 

 この手へ、『勝利』を掴むために。 

 

 

 「Аминь, и спокойный сон.」

(祈りを捧げる神なんて、ほんとはいないけどね。)

 


+ + +
続き、ません。
この話はフィクションです。捏造部分はご了承下さい。


前にちょろっと竜崎さんに許可貰ったので、調子に乗りました。
でも殆ど目的は達成できていない……動きの表現が難しかったのもあったのですが、とてもじゃないが俺短くまとめられねぇっス……!文才の無さに本気で腹切りたい……orz
最後の方になると、何が書きたかったのか実はよく分からなくなったんだ……

バトってなくて、すみません。あとお兄様が空気みたいですみません。
最後にキルキルのOKくれたのに、絡んでなくて本当すみま(もう死んどけ)


ちなみに、
●本日の指名手配犯●
 ・赤いの(兄)…無口。おこりんぼ。でも眉間に皺二本まではデフォルト(標準顔)らしい。→弟?死ねよテメェ。
 ・赤いの(弟)…猫科。可愛いものを苛めるのが大スキ。最近忘れがちだけど髪型みつあみ設定。→兄貴?死ねば良いのに。
 ・破璃(主犯)…ストーカー経歴有り。

 で、お送りいたしました!帰れ、俺!!!

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